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00250『筆のすさび』菅茶山

筆のすさび』 00250
菅茶山 著
菅茶山随筆集 4冊
安政3年(1856年)新刻
安政4年(1857年)刊 
筆のすさび

解 説
茶山の『筆のすさび』は、扉に「随筆」と銘うってある通り、いかにも随筆らしい随筆である。その成立の事情は、巻頭の二つの序文によって明らかである。

まず、茶山の弟子木村雅寿が天保7年(1836年、茶山の没後9年)の春に草した和文の序によると、
『茶山は文政10年の頃、それまでいろいろ書きためてあった文章のまず1巻分を雅寿に整理しうつさせたが、その年の夏、病床の茶山から、自分の死後、どのようにしてもよいとの遺言をもらっていた。その死後、浪速の書肆から強く出版を乞われたので、つぎつぎに残り3巻分を書写編纂した。それは天保7年(1836年)の春のはじめのころのことであった』
という。

つぎに、後藤松陰(ごとう・しょういん)≪名は機(ちかし)、頼山陽の弟子、篠崎小竹の女婿≫が、出版に際し、安政3年(1856年)9月に草した漢文の序には、彼が頼山陽の供をして、廉塾に滞留していた文政元年(1818年)正月、22歳の自分を相手にして、諸国の異聞奇事をきいてよろこぶ茶山の風貌をいきいきと描いている。この随筆集は、そうした話題のつみ重ねから生まれたのである。

この書の各項は、4・5行から12~3行までの仮名交り文で、表現はきわめて客観的かつ簡潔である。項目数は、1~3巻は各巻39項、第4巻45項、合計162項。内容は自然現象、人事、文化、史伝、怪異のすべてを含み、時代・地域は広範囲、儒教的教訓臭はほとんど含まれていない。結局、この書の魅力は、温雅平明な茶山の人柄から発する、あたたかい語り口にあるといえる。時代と話題はことなるが、この書は、かの『今昔物語集』にも比肩すべき豊かな内容を含んでいる。   (出典1)

誠之館所蔵品
管理№ 氏  名 名  称 制作/発行 日 付
03862 菅茶山 著 『日本随筆大成 筆のすさび』 吉川弘文館 平成5年
03079 井上謙二 著 『現代文菅茶山翁随筆 筆のすさび』 平成15年

出典1:『誠之館記念館所蔵品図録』、72頁、福山誠之館同窓会編刊、平成5年5月23日