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00172書「記曾行李」（源光弼）

 

書「記曾行李」　００１７２
源光弼 書
嘉永６年（１８５３年）
２２.４ × １４.８ cm

 

↓読み
　
癸 ：
丑 ：
二
月
念 ：
一
日
　
源 ：
光 ：
弼 ：
　
江 ：
木 ：
君 ：
兄
長
　
　
寄
懐
薫
蕕 。
兼
玉
得
相
於 。
幸
有
門
門 ：
閭 ：
。
先
世
分
都
門
堪
曳
裾 。
　
横
○ 。
豈
三
宦
遅
答
數
行
書 。
近
聞
郊 ：
墅 ：
學
又
索
居 。
一
夜
忽
思
千
里
駕 。
経
手
記
曾
行
李
到
茅
廬 ：
。
周
海
薇
山

 

↓読み下し
　
豈
三
宦
近
く
聞
く
郊
こ
う
墅
し
ょ
　
學
が
く
横
お
う
の
○
　
数
行
の
書
ふ
み
手
を
経 へ
て
答
え
る
こ
と
遅
し
一
夜
忽
た
ち
ま
ち
思
う
　
千
里
の
駕 が
　
又
居
を
索
も
と
む
周
し
ゅ
う
海
か
い
薇 び
山
さ
ん
に
し
て
曽 か
っ
て
行
李
に
記
し
て
茅
ぼ
う
廬
り
ょ
に
到
る
　
癸
丑
二
月
念
一
日
源
光
弼
　
江
木
君
兄
長
　
思
い
を
寄
す
兼
ね
た
る
玉
は
相
あ
い
居 お
る
を
得 え
た
り
先 ま
ず
世
は
薫
く
ん
蕕
ゆ
う
を
分 わ
か
つ
幸
さ
い
わ
い
に
門
に
は
門
も
ん
閭
り
ょ
あ
り
都 と
門
も
ん
は
裾
を
曳
く
に
堪 た
え
た
り

 

大　意
江木氏はかつて行李の荷物をもって、我が茅屋に来た
周囲は海で、近くの野山は荒れて薇が茂っていた
ある夜、たちまち千里をいく乗物を思った
ずいぶんのちに幾人もの人を経て簡単な信書が届いた
彼は居宅を学校のそばに決めたようだ　
◎
都門は裾を曳いて入り難かった
幸いにも、この門は里の入口であった
門は通行する人をより分けている　今の世も匂いを嗅ぎ分けて好いたり嫌ったりする
しかし江木氏は清濁をあわせ呑む人で、はたして後に大人物となった
◎
　思いを寄す
　江木君兄長
　　嘉永６年（１８５３年）２月２１日　源光弼

 

↓遊印
○
詩
○

 

訳　注
廬（りょ） いおり
郊墅（こうしょ） 田んぼの中にある家
－ －
門閭（もんりょ） 村の入口にもうけた門、里門
薫蕕（くんゆう） よい香りの草と臭いにおいの草、善と悪や賢と愚のこと
◎ ◎
江木君 ここでは江木鰐水のこと
癸丑（みずのと・うし） ここでは嘉永６年（１８５３年）のこと
念（ねん） 廿
（落款）源光弼 －
（遊印）○詩○ －

 

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