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00163七言律詩「何幸三翁」(伊勢華)

 

七言律詩「何幸三翁」 00163
伊勢華 書
明治4年(1871年)
32 ×115.5 cm

 

↓右半分

 

↓読み
 
 
 
 
 
 
 
 


 

↓読み下し
 
 
 
 
 
 
 
 

 

大 意
何といういう幸いなことであろうか。
三人の先生がお揃いで一堂に会されたことは。
夜は深まって来て、潮の打ち寄せる響きも、肌寒いこの塘に突き当たって来る。
お酒が廻って来るにつれて、却って春風のような暖かい風が満ちて来る。
人はそれぞれ立派な先生の門に学んで、俊秀な賢士となって薦挙せられて行くのである。
久しぶりに聞くのであるが、我らの同門の諸兄たちは、皆近隣の郷に在住していらっしゃるのである。
今夜は皆で相逢って久闊を謝し、お酒を酌み交わすのである。
来年の春は、さらに親しいお付き合いを願っている。
三先生とともに桜花の香る堤を散歩しながら、詩賦を吟じたいものだ。
 福山の旅館にて
 門田、関藤、江木の諸先生が辱臨され、
 塘の字をおり込んだ詩を賦して奉呈します。
 ご批正をお願い致します。
明治四年十一月七日
伊勢氏華 拝具

 

↓姓名印 ↓雅号印 ↓遊印

 

↓左半分

 

↓読み
 
 
 
 
 

 

↓読み下し
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

大 意
寒空に波静か、月が昇り始めた。
霧が出てきたので、今夜は橋のたもとに停泊する。
明かりの灯るあの家は、商売女の妓樓だろうか。
湾を見渡せば、北方の堤の向こうに街の明かりが見える。
 晩に笠岡に到着した。
又、塘の字をおり込んで詩を作った。
     氏華

 

↓落款印 ↓遊印

 

訳 注
(とう) うつ
(とう)
桃李(とうり) 桃とすもも。
桃李ものいわざれども下
(した)おのずから蹊(けい)をなす=桃やすももは何も言わなくても、花の美しさにひかれて多くの人が集まって来るので、自然に木の下に道が出来る。徳望のある人は、みずから求めなくても、人が自然とその徳を慕い寄ってくることのたとえ。
(しょう) さかずき、さかずきをさす
(ゆ) こえる
門田 門田朴斎のこと
関藤 関藤藤陰のこと
江木 江木鰐水のこと
辱臨(じょくりん) おいでをかたじけなくする意。貴人などの来場に対する敬語。
辛未(かのと・ひつじ) ここでは明治4年(1871年)のこと
(右半分・落款)伊勢氏華(いせ・しか) 伊勢は伊勢華の姓、氏華は伊勢華の諱
(右半分・姓名印)臣氏華 氏華は伊勢華の諱
(右半分・雅号印)君韡(くんい) 君韡は伊勢華の字
(右半分・遊印)小淞(こしょう) 小淞は伊勢華の変名
(しょう) ほばしら
(左半分・落款)氏華 氏華は伊勢華のこと
(左半分・落款印))小淞 小淞は伊勢華の変名
(左半分・遊印)○○

 

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