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00059七言絶句「霜月」(阪谷朗蘆)

 

七言絶句「霜月」 00059
阪谷朗廬 
紙本墨書 131×31 cm
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同一印

 

解 説
この「詠史」を読んで、誰しも想到するのは、上杉謙信天正2年9月詠「横槊賦詩(槊を横たえ詩を賦す)七絶(「霜満軍營秋気清」)であろう。参考のため、朗廬の友人関藤藤陰の詠史「九月十三夜」を掲げておく。
月正三更雁数行 遠征未邊防 誰知今日能州景 撤去軍營獨履

 

訳 注
霜月(そうげつ) 霜のおりる夜に出ている月
皎然(こうぜん) 明らかなさま、光り輝くさま
(のう) よくする、うまくできる
(さく) ほこ、柄の長いほこ
(ひ) なぞらえる、たぐえる
横槊賦詩
(槊を横たえ詩を賦す)
ほこを横にして詩を作る、軍中で詩歌をつくる風流なたとえ。魏の曹操が呉を攻めたときの故事(蘇軾赤壁賦)。
英風(えいふう) 英雄の姿
甲城 甲斐(武田)の城
篙人(こうじん) 船頭
萬古 永久、いつまでも
つらなる、従う、あつまる、そそぐ
越公 上杉謙信
(落款)朗廬小史 朗廬小史は阪谷朗廬の号
(姓名印)阪谷素(さかたに・しろし) 素は阪谷朗廬の本名
(雅号印)希八郎(きはちろう) 希八郎は阪谷朗廬の通称
(遊印)淡静
(紙欠けのため判読不明)、残された部分からt0880に同じとみて「淡静」とした
大意: 清く静か
出典: 『後漢書、張衡傅』
常従容淡静 不好交接俗人
読み: 常に従容として淡静
俗人と交接するを好まず
大意: 常にゆったりと落ち着いていて清く静か
俗人にまみれることを好まず

 

出典1:『誠之館記念館所蔵品図録』、68頁、福山誠之館同窓会編刊、平成5年5月23日