00049巻子「蝦夷探査図絵」(関藤藤陰)
巻子「蝦夷探査図絵」 00049 | ||
関藤藤陰 画文 安政4年(1857年) 紙本着色巻子 20×154 cm |
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「蝦夷探査図会(部分・喜土知里冨鳥&比伊呂鳥)」 |
「蝦夷探査図会(部分・西蝦夷小糸井眺望)」 |
「蝦夷探査図会(部分・石狩川)」 |
「蝦夷探査図会(部分・於冨伊岬(雄冬岬)」 |
比伊呂鳥・説明 | 喜土知里冨鳥・説明 |
西蝦夷小糸井眺望・説明 | ||
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石狩川・説明 |
於冨伊岬(雄冬岬)・説明 |
↓鳥部分読み | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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↓小糸井部分読み | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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↓石狩川部分読み | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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↓雄冬岬部分読み | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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↓鳥部分読み下し | ||||||||||||||
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↓小糸井部分読み下し | |||||||||||||
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↓石狩川部分読み下し | ||||||||
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↓雄冬岬部分読み下し | ||||||||||||||||||||||
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↓鳥部分大意 | ||||||||||||||
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↓小糸井部分大意 | ||||||||||||||
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↓石狩川部分大意 | ||||||||
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↓雄冬岬部分大意 | |||||||||||||||||
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「蝦夷探査図絵」 解説 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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鳥部分 解説 | ||
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小糸井部分 解説 |
「西蝦夷小糸井眺望」 北蝦夷への渡航基地「宗谷」を、藤陰は三度通過したが、安政4年6月29日、彼はこの地を発して帰途についた。発後数刻、宗谷湾の奥に位置する小糸井(声問)に上陸して休憩し、四望した風景がこの「小糸井眺望」である。あたかもこの日は天気晴朗、はるかに水平線上にかすむ唐太島をふりかえり、瘴煙毒霧の地での巡檢の日々を回想して、感無量のものがあったと思われる。その心境が、自らをいたむ「愴然」という語となったのである。 |
石狩川部分 解説 |
「石狩川」 宗谷出発後12日目の、安政4年7月11日、藤陰一行は石狩番屋に到着した。石狩川について藤陰は、全長7~80里、水源は尤別山(ゆうべつさん)としているが、今日では大雪連峰中の忠別山(ちゅうべつざん)と見るのが正しいであろう。一行は、往路とは別に、石狩川・千歳川をさかのぼり、対雁(ついしかり)(現・江別市対雁)・漁太(いさりぶと)(現・恵庭市漁太)を経由して、太平洋岸の勇仏(ゆうふつ)(現・苫小牧市勇払)に出ることにして、7月12日石狩を舟で出発。漁太を過ぎて舟を棄て、歩行して7月14日、勇仏に達した。 |
雄冬岬部分 解説 |
「於冨伊岬=雄冬岬」 藤陰一行は、往路安政4年4月29日(オショロコツ→マシケ間)と、復路7月10日(マシケ→ハママシケ間)、いずれも海上から雄冬岬を眺望している。この両日とも快晴であったから、海難のおそれもなく、じゅうぶんその怪巌奇瀑の風致を探勝し得たはずである。(この図の説明文では、往路の観察としている)。その雄大な風光の描写は、藤陰の名文にゆずる。この岬は断崖が海中に突き出しているため、もし風浪が高ければ、舟行きわめて危険であり、積丹半島突端の神威岬 (かむい・みさき)とならんで、西蝦夷第一の難所といわれていた。 |
訳 注 | |
唐太 | =樺太、カラフト。 |
杜鵑(とけん) | ほととぎすの漢名。 |
挂(けい) | ①かぎりわける。 ②かける、かかげる、つるす。わかつ。かかずらわす、及ぼす。こうむる、きる、つける。 ③かかる。宙にある。まつわる、からむ。さがる、垂れ下る。ふれる、さわる、ひっかかる。かかずらう。かかげられる。わたる。 ④とまる。とめる。⑤衣裳。 ⑥かり、かけ。物を借りて返さず、買って代をはらわぬこと。 ⑦さまたげる。⑧卦。⑨掛。 ⑩わかつ。⑪かけとる、ひっかける。 |
江晋戈 | 江木鰐水のこと。 |
北蝦夷 | ここでは樺太の意味か。 |
野土呂岬(のとろみさき) | 樺太最南端の西能登呂岬のこと。 |
◎ | ◎ |
小糸井 | 現在の稚内市声問(こえとい)。 |
理士里岳(りしりだけ) | 利尻島にある利尻山のこと。 |
蜿蜒(えんえん) | ①竜やへびのうねり行くさま、またそのうねり曲がるさま。②うねり曲がって長く続いているさま。 |
龍虵(りゅうじゃ) | =龍蛇。 |
芙蓉(ふよう) | 富士山の異称、芙蓉峰とも。 |
群山(ぐんざん) | 多くの山山、むらがりそびえる山。 |
綿亘(めんこう) | 長く連なり続くこと。綿亙、連亙(れんこう)。 |
紫翠(しすい) | 山の木がみずみすしく美しいさま。 紫幹翠葉の略。紫幹は暗褐色の幹、翠葉は緑色の葉のこと。 |
無際(むさい) | はてが無い。 |
盤上(ばんじょう) | 巻きつける。 |
青螺(せいら) | 青色のにし貝。 |
瘴煙(しょうえん) | 瘴気を含む靄。瘴気とは山川に生ずる毒気、およびそれにあたって起こると考えられた熱病。 |
愴然(そうぜん) | いたみ悲しむさま、愴愴。 |
久之(ひさしうす) | ひさしく(う)す。しばらくす。之=時間の経過を表す助字。。 |
◎ | ◎ |
尤別山(ゆうべつさん) | 忠別岳のことか、であれば大雪山系の山。 |
距 | より |
帆檣(はんしょう) | 帆柱 |
番屋(ばんや) | 漁師の宿泊する小屋 |
対石狩(ついしかり) | =対雁(現江別市対雁) |
◎ | ◎ |
於冨伊岬(おふいみさき) | =雄冬岬 |
増慶岳(ましけだけ) | =増毛岳 |
暑寒別之山 | 暑寒別岳(しょかんべつだけ)のことか、暑寒別は「滝の上にある川」の意。 |
総名(そうめい・そうみょう) | 全体をすべてくくって呼ぶ名。 |
大麓(たいろく) | ①山のふもとの広大な林。②大きな山麓。 |
斗出(としゅつ) | 土地などのけわしく突き出ること。 |
怪巌(かいがん) | =怪岩。かわった形をしたいわ。 【広辞苑】 |
従 | より。 |
濱増繁(はまましげ) | 浜益。現・北海道石狩市浜益区。(増毛とは別)。 |
千態萬状(せんたいばんじょう) | さまざまのかたち。種々のさま。千様萬態。 |
俯観(ふかん) | =俯鑒(ふかん)。うつむいて観る。俯して視る。 |
海澨(かいぜい) | 海岸、海のほとり。澨(ぜい)は水涯、みずぎわ。 |
應接不暇(おうせつ・ふか) | 物事が後から後から起こって対応しきれないこと。また、忙しくて一人一人に対応できないこと。一般に「応接(おうせつ)に暇(いとま)あらず」と読む。 |
繍錯(しゅうさく) | 縫い取りが交錯して美しい模様を成すこと。 |
奇古(きこ) | めずらしく古めかしい。 |
鬱蒼(うっそう) | 樹木が茂ってあたりが薄暗いさま。 |
巉巌(ざんがん) | 切り立った険しいがけ。高くそびえた岩。 |
舟楫(しゅうしゅう) | ①ふねとかじ。ふね。②ふねで運ぶこと。水運。 |
驚涛(ぎょうとう) | さかまくなみ。怒濤、驚瀾、驚浪。 |
駭浪(がいろう) | わきたつなみ。 |
性命(せいめい) | ①萬物の有するそれぞれの性質。天から命ぜられた持ちまえ。②いのち。壽命。生命。③物事の要所。④生物。 |
出典1:『誠之館記念館所蔵品図録』、65頁、福山誠之館同窓会編刊、平成5年5月23日 |