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00014扁額「誠之館御諭書」(阿部正弘)

 

扁額「 誠之館  00014
阿部正弘 書
嘉永7年(1854年)1月

紙本墨書 額装 35×216 cm
誠之館の開校式にあたる「発会式」は、江戸では嘉永7年(1854年)1月15日、福山では翌安政2年(1855年)1月16日に挙行されたが、いずれの式へも正弘は臨席することができず、その代わり、密書役が正弘自筆の「御諭書(おん・さとし・がき)」を読み上げた後、出席者が順次これを拝見して式を終えた。その後、毎年1月の発会式(始業式)には、両校とも、藩士とその子弟たち1000人余りの参列者に、必ずこの直書を読み上げるのが恒例となった。

この諭書には、学校を開設して藩士とその子弟を教育する目的は、文武両道を同時に勉励し、大節に臨んで判断を誤らない人材を養成することにあるとしている。また、学問は「国を治むるの大本」であるから、学校を建設して人材を養成すべきだと述べている。

伊勢とは、阿部伊勢守正弘公のことである。

幅が2メートルを越える大きさになったのは、多くの参列者が見易いようにという配慮であろう。

 

↓前半部

 

↓後半部

 

訳 注
乍不及 及ばずながら
都て すべて
心志(しんし) こころ、こころざし、意志
大節(たいせつ) 留意して守るべき重要な事柄、職分上の大事、大任、国家の大事変、または死生存亡に関する大事件。
正的(せいてき) 本妻の嫡子、(転じて)正統な目的・正統な目標

 

出典1:『誠之館記念館所蔵品図録』、57頁、福山誠之館同窓会刊、平成5年5月23日