七言絶句「市厘民俗」 t0850
阿部正弘
100.2×32.3 cm
↓読み ↓読み下し


大 意
市中の風俗では往々にして法律が守られない
誰か贅沢を抑えてこの難局を救うか
上手に計らって法律が整えば
自ずから仁者の壽は山のようになる

↓姓名印 ↓雅号印
↓遊印


誠之館所蔵品
管理 氏 名 名  称 発 行 日 付 コメント
00639 秦鼎著 『再刻春秋左氏傅校本
第十五 襄公 起十年盡十五年』
三都書房 嘉永3年(1850年) 遊印の出典 13頁
00627 宮脇通赫著 『評註春秋左氏傅校本 八
第十五 襄公 起十年盡十五年』
山中市兵衛 明治13年6月9日 遊印の出典 12頁


訳 注
(てん/りん) (てん)の俗字、店、店舗
市廛(してん) 市中の商店、商店のあるまち
民俗(みんぞく) 民間の風俗
踰閑(ゆかん) のりこえる、礼法を守らない、閑は法
驕奢(きょうしゃ) 心がおごって、ぜいたくすること
(かたい) むずかしい
三尺(さんじゃく) 法律、昔三尺の竹の札に法律を書いたのでいう
(姓名印)阿部朝臣正弘 正弘は阿部正弘のこと、朝臣とは幕臣はもともと朝廷の臣下でもあるということ
朝臣はあそみ。三位以上の人の姓の下(姓朝臣)、または四位・五位の人の名の下(名字朝臣)につける。「菅原朝臣」「藤原敏行朝臣」など
(雅号印)福山侍従 福山は福山藩主のこと、侍従というのは朝廷の臣であるということ
(遊印)居安思危
読み(こあん・しき) 安きに居りて、危うきを思う
大意: 平安無事のときにも、危難に備え用心を怠らないこと
出典: 『春秋左氏傅 襄公十一年』
春秋左氏傅のなかでは以下のように続いている。
居安思危: 安きに居りて、危うきを思う
平安無事のときにも、危難に備え用心を怠らないこと
思則有備: 思えば則ち備えあり
心配りをするということが既に備えとなる
有備無患: 備えあれば患いなし
準備を怠らなければいざという時に慌てずに済む
 HT氏蔵
2012年6月1日追加●2012年6月4日更新:読み・大意・遊印●2012年6月6日更新:遊印読み●2012年6月14日更新:遊印読み・訳注・誠之館所蔵品●2012年6月26日更新:読み下し・大意・訳注●2012年6月27日更新:訳注●2015年7月15日更新:レイアウト(改頁)●