「誠之館百五十年のあゆみ展」

２００４年４月〜２００５年３月


藩校弘道館

弘道館（こうどうかん）は、天明６年（１７８６年）城西の堀端に福山阿部藩第４代藩主・阿部正倫（１７４５〜１８０５）が、主に藩士の教育を目的として建設した。当時は、全国的に大飢饉がおこり、藩財政も窮乏し、百姓一揆も頻発した時だったが、学問に注目し、多くの学者を儒者に登用して教育に当たらせ、儒教精神による綱紀粛正をはかった時代であった。続いて、第５代藩主・阿部正精（１７７４〜１８２６）も江戸詰め藩士のために藩邸内に丸山（まるやま）学問所を開設し、従来の儒学・国学に限らず、洋学・天文学などに及ぶ広範囲な学問を奨励し、彼自身も「詩書画三絶」とたたえられた好学の藩主であった。

展示��	著・書・画	品　目　名　称	管理��
１	阿部正倫 画	「孔子画像」	００００２
２	阿部正精 画	「不老朝花図（松に朝顔）」	００００７
３	徳川斉昭 書	扁額「誠之館（複製）」	０００１８
４	阿部正弘 書	「御諭書」 （おんさとしがき）	０００１４

�T 藩 校 誠 之 館 の 創 設

そして、第７代藩主・阿部正弘（１８１９〜１８５７）は、幕末の外国の圧力に対処できる人材養成を目的として、弘道館を発展的に解消して安政元年（１８５４年）、西町道三口（今の霞町）に藩校誠之館を建設し、翌２年（１８５５年）正月に開校させた。この藩校誠之館は、漢学のみの弘道館と異なり、洋学・医学・数学・軍法などが学科に加えられ、試験制度を取り入れた「仕進法（ししんほう）」と共に、大きな誠之館の特色となった。明治初年の学制改革により、国学・漢学・洋学の３学科と数学・書学・画学の３科を置き、農民・町民にも入学を許可し、学問の振興がはかられた。

展示��	著・書・画	品　目　名　称	管理��
５	五姓田芳柳 画	油彩画「阿部正弘公肖像画」	０００１９
６	阿部正弘 書	書幅「以不教民戦 是謂棄之」	０００１５
７	阿部正弘 書	書額「功徳山」	０００１７
８	−	「ペリー肖像画」	ｚ０６８０
９	−	「ペリーからの贈り物 （天球儀・地球儀・三球儀・顕微鏡・六分儀）」	ｚ０６６０

�U 藩 校 誠 之 館 の 教 授 た ち

展示��	著・書・画	品　目　名　称	管理��
１０	門田朴斎 書	七言律詩「聞就仙家」	０００３９
１１	門田朴斎 著	『朴斎先生詩鈔（初編）』	００２５８
１２	門田朴斎 著	『朴斎先生詩鈔（二編）』	００２５９
１３	江木鰐水 書	七言絶句「秋蝶（偸香曽是）」	０００４２
１４	門田重長 書	七言律詩「紅袖幾多」	０００６５
１５	藤井松林 画	「寺地強平肖像画」	００３５３
１６	阪谷朗廬 撰	「寺地強平（舟里）碑文拓本」	００３５１
１７−１	寺地強平 作・書	短冊「年ばかり」	００３５４
１７−２	寺地強平 作・書	短冊「世の波の」	００３５５
１７−３	寺地強平 作・書	「世わたりの」	００３５６
１８	松本良遠 書	和歌「月前嵐」	０００５８
１９	大国隆正 書	和歌「紅葉」	０００５７
２０	江木鰐水 撰 津山義道 書	「誠之館之記」	０００４４

�V 藩 校 誠 之 館 教 育 の 継 承

展示��	著・書・画	品　目　名　称	管理��
２１	阪谷朗廬 書	七言絶句「霜月」	０００５９
２２	五十川訊堂 書	七言絶句「誰知遠客」	０００６１
２３	平川鴨里 書	「葦陽城夜桜」	ｔ０１４０
２４	平川鴨里 著	『鴨里耋餘詩文』	００２７０
２５	小林義直 書	七言律詩「題画（行人立盡）」	００３４７
２６	小林義直 著	『理禮氏薬物学』	００３４１

�W 誠 之 館 卒 業 生 の 活 躍

展示��	著・書・画	品　目　名　称	管理��
２７	江木高遠 書	洋客箴言「愛汝勿復」	０００５３
２８	五十川基 書	寿詞「南極」	０００５４
２９	三谷一二 書	和歌「誠之道」	０００６９
３０	丸山鶴吉 書	人生訓「春風」	０００７０
３１	森戸辰男 書	扁額「論語」	０２１６７
３２−１	永井潜 著	『生物学と哲学との境』	０３９１７
３２−２	永井潜 著	『人性論』	０３９１８
３２−３	永井潜 著	『生命論』	０２９７１
３３	永井潜 差出	「永井潜から松坂昭二宛書状」	０００６７

展示��	著・書・画	品　目　名　称	管理��
３４−１	森戸辰男 著	『思想の遍歴（上・下）』	０３９００
３４−２	森戸辰男 著	『エンゲル ベルギー労働者家族の生活費』	０３９０３
３４−３	森戸辰男 著	『クロポトキンの片影』	０３８９９
３４−４	森戸辰男 著	『近世社会主義思想史』	０３９０２
３８	永井潜 著	『道と自然』	００３６６
３９	岡田純次郎 著	『岡田吉顕之傳』	０３９１２
４０	福原麟太郎 著	『春興倫敦子』	０３２０２
４１	丸山鶴吉 著	『五十年ところどころ』	０３８６３
４２	掛谷宗一 著	『微分学』	０３９１６
４３−１	井伏鱒二 著	『駅前旅館』	０３８９７
４３−２	井伏鱒二 著	『河鹿』	０３８９８
４３−３	井伏鱒二 著	『御神火』	０３８８２
４３−４	井伏鱒二 著	『七つの街道』	０３８９２
４３−５	井伏鱒二 著	『川釣り』	０３８７８
４３−６	井伏鱒二 著	『海揚り』	０３８９５
４３−７	井伏鱒二 著	『荻窪風土記』	０３８９６
４３−８	井伏鱒二 著	『多甚古村』	０３８８１
４３−９	井伏鱒二 著	『掘り出しもの』	０３８９３
４３−１０	井伏鱒二 著	『吉凶うらなひ』	０３８９４
４３−１１	井伏鱒二 著	『黒い壺』	０３８８６
４３−１２	井伏鱒二 著	『風貌姿勢』	０３８８３
４３−１３	井伏鱒二 著	『漂民宇三郎』	０３８９１
４３−１４	井伏鱒二 著	『白鳥の歌』	０３８９０
４３−１５	井伏鱒二 著	『早稲田の森』	０３８８０
４３−１６	井伏鱒二 著	『ジョン万次郎漂隆記』	０３８８８
４３−１７	井伏鱒二 著	『さざなみ軍記』	０３８８９
４３−１８	井伏鱒二 著	『黒い雨』	０３８７９
４３−１９	井伏鱒二 著	『風俗』	０３８８４
４３−２０	井伏鱒二 著	『なつかしき現実』	０３８８５
４３−２１	井伏鱒二 著	『乗合自動車』	０３８８７
４４−１	岩崎博 著	『鶴庵 茶事の追憶』	０２９８２
４４−２	岩崎博 著	『古美術行脚 南蛮・シルクロードの旅』	０２０７３
４４−３	岩崎博 著	『お茶のおけいこ 裂地の楽しみ』	０３０６１
４４−４	岩崎博 著	『お茶のおけいこ 茶道具の味わいどころ』	０３２３６
４４−５	岩崎博 著	『かくあん会記』	０２０７１
４５−１	村上正名 著	『備後人物風土記』	０３０５４
４５−２	村上正名 著	『まぼろしの中世集落 草戸千軒町』	０３９１１
４６	小林政夫 著	『東南アジア紀行』	０３９１４
４７	宮澤裕 著	『買ひ被ぶってゐた欧米』	０３９１５
４８	徳永豊 著	『徳永豊回顧録』	０２１１８
４９−１	立石定夫 著	『元和の栄光 水野勝成の政治』	０３９１３
４９−２	立石定夫 著	『千代の面影』	０３１０４
４９−３	立石定夫 著	『杏葉紋の族譜』	０３１１０
５０	江川義雄 著	『廣島縣醫人傳』	００３７２
５１	妹尾啓司 著	『国際文化交流史論−近世日本文化とヨーロッパ文化−』	０３１１２
５２−１	藤原弘達 著	『日本の椅子』	０３９１９
５２−２	藤原弘達 著	『吉田茂 その人その政治』	０３９２０
５２−３	藤原弘達 著	『世紀末を斬る』	０３９２１
５３	宮地傳三郎 著	『宮地伝三郎動物記（１〜５）』	０３９１０
５４	重政誠之 著	『農業保険精説』	０３７６６
５５−１	力石定一 著	『世紀末を斬る』	０３９２１
５５−２	力石定一 著	『都市環境の条件』	０２１１４
５５−３	力石定一 著	『日本経済の条件』	０２１１５
５６	河相全次郎 著	『無』	０３２１１
５７	岡本正 著	『留学生と共に ＯＳＦだより巻頭言集』	０３５１２
５８−１	荒木聢志 刻	西田幾多郎「黙々与天語」	０４１６０
５８−２	荒木聢志 刻	孟子「仰天不愧」	０４１５９
５８−３	荒木聢志 刻	夏目漱石「則天去私」	０４１６１
５９	延平郁人 著	『句集 鞆の津』	０２１３０
６０−１	難波恒雄 著	『天山山脈薬草紀行』	０３１６４
６０−２	難波恒雄 著	『漢方、生薬の謎を探る』	０３１６３
６１−１	繩田栄次郎 著	『経済と国家』	０２１２５
６１−２	繩田栄次郎 著	『腸をつつき腸をえぐる　−民主主義的天皇制保護国−』	０２９９３
６１−３	繩田栄次郎 著	『フェニックスよ翔べ　−日本を襲う７つの怪−』	０２１２４
６２−１	土生育三 著	『短歌紀行 海と山　−植物の世界−』	０２１３４
６２−２	土生育三 著	『歌集 木天蓼の花』	０２１３３
６３	平田正 著	『人間回復の社会奉仕』	０３４６０
６４	藤井正夫 著	『福山藩校 誠之館』	０２２２１
６５	藤井猛 著	『菅茶山』	０２１５１
６６−１	勝村達喜 著	『残照』	０３０６９
６６−２	勝村達喜 著	『黎明春光』	０３０７０
６７−１	島田荘司 著	『嘘でもいいから殺人事件』	０２２８９
６７−１	島田荘司 著	『アトポス』	０２３２７
６７−２	島田荘司 著	『眩暈（めまい）』	０２３２１
６７−３	島田荘司 著	『暗闇坂の人喰いの木』	０２３３２
６７−４	島田荘司 著	『エンゼル・ハイ スポーツカー王国日本の誕生』	０２３０５
６７−５	島田荘司 著	『自動車社会学のすすめ』	０２３２０
６７−６	島田荘司 著	『異邦人の夢』	０２３８６
６７−７	島田荘司 著	『水晶のピラミッド』	０２３１３
６７−８	島田荘司 著	『秋好事件』	０２３３８
６７−９	島田荘司 著	『御手洗潔のダンス』	０２３１２
６７−１０	島田荘司 著	『占星術殺人事件』	０２３３０
６７−１１	島田荘司 著	『パリダカ漂流』	０２３１９
６７−１２	島田荘司 著	『ポルシェ９１１の誘惑』	０２３００
６７−１４	島田荘司 著	『都市のトパーズ』	０２３１１
６７−１５	島田荘司 著	『網走発遥かなり』	０２２９３
６７−１６	島田荘司 著	『火刑都市』	０２２９９
６７−１７	島田荘司 著	『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』	０２３１８
６８	小林重道 著	『言の葉の花』	０３９２３
６９	村上菊一郎 著	『村上菊一郎訳詩集』	０３９０９
７０−１	葛原しげる 著	『葛原勾当日記』	０３９０８
７０−２	葛原しげる 著	『葛原しげる童謡集』	０３９０６
７０−３	葛原しげる 著	『雀よこい』	０３９０５
７１	小山祐士 著	『小山祐士戯曲全集』	０３９２４
７２	岬柴火（目崎一三） 著	『岬柴火遺稿集』	００３０１
７３	岬柴火（目崎一三） 著	『今、今ですよ！！　学徒兵の詩才原爆に死す』	０２９９６

ここでご紹介する資料の解読と解説は、 森田雅一先生、および松浦盤峯先生の ご尽力によるものです。