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吉田卓 よしだ・たかし

画家、二科会会友

吉田卓

経　歴

生：明治３０年（１８９７年）８月２１日、名古屋市生まれ

没：昭和４年（１９２９年）、２月２５日、大阪市阿部橋・田中病院にて没、享年３２歳

− − 広島県立福山中学校（誠之館）中退 − − 私立正則中学校（東京・神田区）卒業 大正９年（１９２０年）頃 ２３歳頃 川崎画学校本郷研究所にて学ぶ 大正１１年（１９２２年） ２５歳 《椅子に凭る》が二科美術展（第９回）で初入選 大正１２年（１９２３年） ２６歳 《花》を二科美術展覧会（第１０回）、聖徳太子奉讃展覧会に出品 大正１３年（１９２４年） ２７歳 《静物》を二科美術展覧会（第１１回）に出品。東京市外上落合に居住 大正１３年（１９２４年）６月頃 ２７歳 大阪を旅行 大正１４年（１９２５年）頃 ２８歳頃 モデルの狩谷時枝（苅谷時枝）と結婚。茨城県高浜町駅前に居 大正１４年（１９２５年） ２８歳 《静物》《横たわる裸體》を二科美術展覧会（第１２回）に出品 大正１４年（１９２５年）１０月 ２８歳 東京府下長崎村並木１３３４へ転居 大正１５年（１９２６年）２月 ２９歳 台湾旅行 大正１５年（１９２６年） ２９歳 《子供の居る庭園風景》を聖徳太子奉讃展覧会に出品 大正１５年（１９２６年） ２９歳 《裸婦》《腰かける女》《羽扇を持てる裸婦》《立てる裸婦》《横たわれる女》《水さしとパイプのある風景》を二科美術展覧会（第１３回）に出品 大正１５年（１９２６年） ２９歳 《羽扇を持てる裸婦》で二科賞〔佐伯祐三、林重義、木下義謙とともに〕 昭和２年（１９２７年）５月２８日〜 　昭和２年（１９２７年）６月３日 ３０歳 林重義、古賀春江と小品三人展を新宿紀伊国屋ギャラリーで開催 昭和２年（１９２７年） ３０歳 《静物》《爪》《浴後》《裸婦》を二科美術展覧会（第１４回）に出品 昭和２年（１９２７年） ３０歳 長男雅彦誕生 昭和３年（１９２８年）４月６日〜 　昭和３年（１９２８年）４月２０日 ３１歳 《赤衣女像》昭和２年作を中央美術展（第９回、東京府美術館）に出品 昭和３年（１９２８年） ３１歳 《静物》を二科会展覧会（第１５回）に無鑑査出品 昭和３年（１９２８年） ３１歳 鈴木信太郎とともに二科会会友に推薦される 昭和３年（１９２８年） ３１歳 臨時久邇宮殿下聖徳太子奉賛美術展覧会委員 昭和３年（１９２８年） ３１歳 日本水彩展覧会会友 昭和３年（１９２８年） ３１歳 中央美術展覧会会友 昭和４年（１９２９年）２月２５日 ３２歳 大阪市において没 昭和４年（１９２９年）４月１０日〜 　昭和４年（１９２９年）４月２０日 − 中央美術会１０回展において遺作２０点を展示 昭和４年（１９２９年）５月１０日〜 　昭和４年（１９２９年）５月２０日 − 吉田卓追悼遺作展（福山医師会館）において、《菊》大正２年、《山家の夕暮》大正６年、吉津村の梨花》大正８年、《睡蓮》大正１２年、《薔薇》大正１５年、《水さしとパイプのある静物》大正１５年、《静物》昭和２年、《福山城》昭和２年、《鞆津風景》昭和２年、《花と果物》昭和２年、《ソファに倚る裸婦》昭和２年、《芍薬》昭和２年、《裸婦立像》昭和３年、《郊外風景》昭和３年、《白衣少女像》昭和４年、《横臥裸婦》昭和４年の１６点を展示

生い立ちと学業、業績

画家。吉田弘蔵の次男（６人姉弟の第５子）として生れる。吉田家は代々家老職をつとめた家柄の旧家。 旧制の福山中学校（誠之館）に通学したが中途退学して上京、神田区の私立正則中学校に転校した。卒業後、川端画学校洋画科に入学、さらに本郷洋画研究所に転じた。 大正１１年（１９２２年）第９回二科展に「椅子に凭る」で初入選、以来、３２歳で亡くなる昭和４年（１９２９年）の第１６回展まで連続出品。同時に、日本水彩画会や中央美術展にも出品している。 代表作「裸婦」（ふくやま美術館蔵） その作風は、初期は緻密な描写からはじまり、堅実な写実、印象派風、セザンヌ風描写、分析的キュビスム、幻想的画風、新古典主義的画風、フォービスム的画風など多様である。 「椅子に凭る」は粗い筆致のフォービスム風の作品だが、翌大正１２年（１９２３年）の出品作「花」は穏健な表現主義的作品である。また大正１３年（１９２４年）頃からは一転して立体主義的画風に変るが、長くは続かず大正１４年（１９２５年）出品の新古典主義的作風の「横たわれる裸婦」を経て、大正１５年（１９２６年）「羽扇を持てる裸婦」により、二科会の最高賞である二科賞を林重義、木下義謙、佐伯祐三とともに受賞。やがて新古典主義的スタイルに表現主義的な筆致を加えながら画風を確立していった。 そして、昭和３年（１９２８年）第１５回展には「裸婦」他を無鑑査出品、鈴木信太郎とともに二科会会友に推薦された。また同年、臨時久邇宮殿下聖徳太子展覧会委員に任じられ、日本水彩展覧会、中央美術展覧会のいずれからも会友にも推挙されている。 これに力を得て、翌昭和４年（１９２９年）に渡欧を計画し、後援会結成のため関西を旅行中に西宮で発病し、２月２５日、大阪市田中病院にて急逝した。 同昭和４年４月、中央美術会第１０回展は遺作２０点を展示。５月には、福山市医師会館にて追悼遺作展を開催、１６点が展示された。 以来６２年振りの平成３年（１９９１年）６月、ふくやま美術館が『大正モダンを駆け抜けた画家　吉田卓展』を開催。これを契機にふくやま美術館では作品収集に着手、現在油彩画８点、水彩画４点、寄託の油彩画２点を所蔵している。 なお、二科入選の数年前から数えても約１０年程度の短い作家活動の間に制作された作品は、水彩素描などを含めても千点に満たないと思われるが、戦災による焼失や無名画家の絵として散逸したものが多く、現在までに確認されているのは約７０点程度に留まっている。　　　荒木聢志（昭和３０年卒）

誠之館所蔵品
管理��	氏　名	名　　称	制作／発行	日　付
０２８８２	福山学生会事務所 編	『福山学生会雑誌（第６８号）』「画壇の新人 本会会員 故吉田卓君追悼録」	福山学生会事務所	昭和４年
０３１５６	ふくやま美術館 編	『大正モダンを駆け抜けた画家 吉田卓展』	ふくやま美術館	平成３年

出典１：『大正モダンを駆け抜けた画家 吉田卓展』、ふくやま美術館編刊、１９９１年６月７日 出典２：『福山学生会雑誌（第６８号）』、「画壇の新人 本会会員 故吉田卓君追悼録」、福山学生会事務所編刊、昭和４年７月１５日

２００５年３月２日更新：経歴・関連本●２００５年５月１９日更新：経歴●２００６年６月９日更新：タイトル・所蔵品●２００７年１月３１日更新：レイアウト●２００７年１１月２０日更新：経歴・本文●２００８年７月１０日更新：経歴・出典●２００９年２月５日更新：レイアウト●