福山阿部藩
藩主
誠之館
先賢
福山藩
関係者
誠之館
歴代校長
誠之館
教師
誠之館
出身者
誠之館と
交流した人々
誠之館所蔵品
関係者
誠之館同窓会
歴代役員
濱本憲章 (浜本憲章)
はまもと・けんしょう
日本画家
濱本憲章 (出典1)


経 歴
生:明治44年(1911年)9月27日生まれ
没:昭和10年(1935年)5月4日、享年25歳
京都市立美術工芸学校
日本画家貫井道学に師事
昭和3年(1928年) 17歳 「大阪落城」帝展出品、大阪市買上
昭和5年(1930年) 19歳 福山市庁舎新築に際し欄間用に「福山城」を描く
「福山市役所発行福山案内」鳥瞰図制作


生い立ちと学業、業績

明治44年(1911年)9月27日生まれ。父は、郷土史研究家の濱本鶴賓氏である。

京都市立美術工芸学校に学び、日本画を修めた。また日本画家貫井道学に師事した。

昭和3年(1928年)には、17歳で「大阪落城」を帝展に出展、その後大阪市に買い上げられた。

同窓会には、濱本憲章画の「福山城全景」と「皇祖発祥地高千穂峡」がある。その他の作品に「備後に於ける足利直冬」、「志川瀧山合戦と宮氏滅亡始末」、「備後国荘園考」、「備後守護職考」、「神辺城合戦史」、「杉原氏の滅亡に就て」、「芸備武将系図」などがあるという。

親の濱本鶴賓氏の影響からか、郷土を中心とした歴史にも明るく、残された著述が多い。

濱本憲章の作品は、天性の才能に溢れている。しかしこの才能も病には勝てず、昭和10年(1935年)、年初からの療養ののち、あっけなくこの世を去る。享年25歳の若さであった。
   (出典2)


「嗚呼濱本憲章君」 得能正通   (出典1)
本誌編集同人鶴賓濱本清一氏令息憲章君、本年の初めから病床に臥し、両親なり令なりの厚い介抱を受けられたが、天命如何ともなすあたはず5月4日の午前零時30分、永い眠りにつかれた。

君は明治44年9月27日を以て生れ、画筆に親しみ、史学研究に熱心であった。絵画については知るところにあらざるも、史学の研究について観るに、微に入り細を穿ち、著眼鋭敏、往々人の知らざるところを究め、人の言ふ能はざるところを言ひ、議論卓抜、後世畏るべしの感を抱かしめた。現に本誌に発表せしところを見るも、曰く桜山茲俊論考、曰く桜山公法號論、曰く桜山左近將監抹殺論、曰く吉備津宮再建年代考、曰く備後国守護職考、何れも傾聴に値ひすべき考察である。其他厳君鶴賓氏より発表したる論文に於ても、最近のものには恐らくは君の研究が織込まれていないものはなかろうと想う。殊に発病以前我が備後なり芸州なりの忠臣を調査し藝備忠臣傳の著作を企だて、其の原稿も相当の数に上っているとか聞く。
此の出藍の偉材をして、天年を假さず、僅かに25年を生涯とし晩春の好時節に於て、桜花桃李の春風に散り去るが如く、親愛なる両親に先立ちて世を去らしめしは何たる悲しいことであろう。
病床其の儘なる君の遺骸に接し、孱顔花の如きさまをみるにつけても、いとしい姉ぎみの千鶴子さん一人を父母にのこし君ただ独り急がぬ旅に急ぎしこと、老眼忽ち霞み、嗚咽言ふところを知らず。
御両親に対しても、千鶴子さんに対しても、何とも慰むべき言葉がなかった。嗚呼哀哉。
君の霊もし心あらば、希くは我が郷土史の研究に七生援護の神となって、其の目的の達成を守られよ。
顧みるに本年4月3日、備後叢書第11巻の発行にあたり、厳君鶴賓氏に之を贈呈したところ、病苦に悩みながらも、君は此の事を知り、之を見んことを請ひ、現本を手にし通読して曰く、校訂の労多大なりと。
這は厳君鶴賓氏より聞きしところ、大患と戦ひながら猶且新発行の郷土史を手にし、校訂の労を思ふの深きにいたりては涙なくして其の心情を酌むことができやうか。
嗚呼何もかも皆な思い出の種である。
老いたりと雖も余生を郷土史の研究に委ね、若くして世を去られし君が英霊の加護を待つこととせむ。
嗚呼哀哉。


誠之館所蔵品
管理 氏  名 名  称 制作/発行 日 付
00345 浜本憲章 画 日本画「福山城全景」 昭和5年ごろ
03720 浜本憲章 画 日本画「皇祖発祥地高千穂峡」 昭和10年ごろ
04722 得能正通 「嗚呼濱本憲章君」(コピー) 備後郷土史会 昭和10年


出典1:『備後史談(第11巻5号)』、「嗚呼濱本憲章君」、得能正通、備後郷土史会編刊、昭和10年5月15日
出典2:『あしあと[立石定夫の生涯]』、268〜272頁、立石定夫著、立石事務所刊、平成6年8月10日
2006年8月8日追加●2006年8月24日更新:本文・関連情報●2006年12月20日更新:所蔵品●2007年3月12日更新:写真・経歴・本文●2007年4月13日更新:本文●2007年12月28日更新:経歴・本文・関連情報削除・出典●2008年3月14日更新:本文●2009年7月2日更新:誠之館所蔵品●2011年8月1日更新:写真コメント●2011年10月11日更新:本文・誠之館所蔵品・出典●