父は尾道四国間連絡船の機関長、母は小農で長男の私は農業をつぐ必要がなかったのは幸いであったが、当時経済的には大学まで行けるとは考えられなかった。
県立福山中学校に入学でき2年間寄宿舎にはいり、3年生より自転車汽車併用通学した。
寄宿舎時代鞆の浦に遠足して初めてボートにのり楽しかったことを思い出し、3年生のときボート第1号、4年生のとき少し大きい長さ約2、3米のヨットを手製で作り、手製の三輪車で海岸まで約5分運んで遊んだ。
このヨットで、大学を卒業するまで夏休みには楽しんだ。
4年修了で何人かと一緒に第六高等学校を受験したが、皆落ち私は卒業の年に入学できた。
六高では健康のため柔道部に加入、毎日2時間半位の猛練習なのでやめようと何回か迷ったが、最後まで頑張ってよかったと思う。
3年生のとき全国高等専門学校の柔道大会の中部決勝戦で松山高校の大将を、私の発明の技で押え込んで有名になった。
3冊の本にそれぞれ入神の技、縦四方固めの名人、当時天下一品の巧技と記載されている。
これは小柄の身体を活用して、大柄の高段者をあざやかに押え込んだから有名になったのである。
優勝したときの学業成績は、クラスで1番であった。
東京大学電気工学科では、勉強の外趣味として囲碁を始め、柔道も続け卒業のときは4段になった。
中学では体操は乙で、中学卒で柔道は4級であったが、六高卒では2段、現在6段である。
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オリンピック選手強化練習で |
模範演技・新固め技 |
(縦四方固の改良技) |
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日本電気株式会杜に入杜6年後、測定器設計担当の関係で発振器の工業規格制定委員会に出席したのが幸いして、発振器の安定化に取りくみ、翌昭和13年(1938年)31歳で立派な発明をした。
これは私の人生を決定的に左右する出発点になった。
この問題把握は職務(設計)上の必要以上のもので、何かすばらしい発明をしたいという積極的意欲によるものだった。
従って利用としては、翌昭和14年(1939年)安定化発振器でなく、陸軍の地雷探知機に応用して成功した。
昭和16年(1941年)設計担当から、何の関係か検査主任に職務が変わった。
私は設計研究には自信があるのに不適任と思った検査事務監理に回され、衝撃をうけて蓼科高原や伊豆熱川を1週間逍遥してやっと出杜した。
職務外の発明で目にもの見せてやろうと頑張り、当時電々公杜でもっとも多く使用されていた測定器4種のうち、2種まで私の発明が採用された。
又昭和18年(1943年)には検査課長でありながら、潜水艦探知機を発明して海軍に採用された。
戦後昭和24年(1949年)に、電気通信大学に転職した。
大学では教育の外の研究面では、若い会杜時代の研究発明の関連のものが多かった。
前記一連の発明で、昭和37年(1962年)紫綬褒章を戴いた。
発明による経済的ゆとりが、私を学長(管理職)にしたかも知れない。
学長(2期6年)の末期より気分転換のため私の専門外の物理基礎理論に取り組み、学長退職時には新理論の大綱はほぼ固まってい.た。
退職直後物理学会に加入して春秋2回の大会に連続13回論文を提出した。
題名は特殊絶対性時間空間理論で、アインシュタインの特殊相対性理論の矛盾を解消するもので、物理学と哲学の基礎の時間空間概念を確立するものである。
これが私の最後最大の夢で、確信をもって学者を説得中である。 |
二兎を追うものは一兎を得ずという諺があるが、私は両刀使い例えば文武、勉強と柔道、本職と余技、管理職と発明発見の、兎と亀の二頭を追うことにより気分の転換をはかりながら、二頭を得ることに成功したようである。
管理職と研究(発明発見)両方をやる方が、研究専門より効果があることが統計的にも示されている。76歳の現在も両方を頑張っている。
人生を楽しく過ごすには、意欲をもち夢を設けて実現に努力するのが大切である。
夢には色々あり、棚からボタモチや果報は寝て待て式の消極的なものでも、時には実現する。
若い時何か趣味でも仕事でも一度成功して楽しみ自信がつくと、何かやろうという意欲が旺盛になる。
すると夢或は目標は、自然に容易に生れるものである。
その中で、それぞれの能力に応じてできそうだと確信のもてるものを選ぶことが大切である。
われわれの個性は、それぞれ異なっている。能カの有無の基準は、上を見れば上があり、下を見れば下があるので、自信をもって自らの個性を発揮するように頑張ることが大切である。
性格でも物事でもプラス、マイナス両面があり、マイナス面でもプラスに転用できることを忘れてはならない。
発想の転換の必要な大発見発明は、若さが大切である。
ニュートン24歳位、アィンシュタィン26歳、朝永振一郎28歳です。
統計的には数学では30代、科学では31歳という資料があります。
青少年諸君の発奮を祈ります。
趣味、柔道・囲碁・ゴルフ・発明。 (出典1) |