福山阿部藩
藩主
誠之館
先賢
福山藩
関係者
誠之館
歴代校長
誠之館
教師
誠之館
出身者
誠之館と
交流した人々
誠之館所蔵品
関係者
誠之館同窓会
歴代役員
阿部正精
あべ・まさきよ
備後福山藩・第5代藩主、江戸丸山学問所創設
阿部正精 (出典1)


経 歴
生:安永3年(1774年)12月24日、江戸生まれ
没:文政9年(1826年)6月20日、享年53歳、江戸浅草西福寺に葬る、のち谷中墓地に改葬される
天明8年(1788年) 14歳 備中守
寛政5年(1793年) 19歳 対馬守
享和3年(1803年)10月5日~
 文政9年(1826)6月20日
29~
52歳
藩主(在任期間22年9ヶ月)
文化元年(1804年)3月24日 30歳 奏者番
文化3年(1806年)~
 文化5年(1808年)
32~
34歳
寺社奉行兼任
文化7年(1810年)~
 文化14年(1817年)
36~
43歳
寺社奉行兼任
文化14年(1817年) 43歳 従四位下
文化14年(1817年)8月25日~
 文政6年(1823年)10月11日
43~
49歳
老中
文政元年(1818年) 44歳 侍従


生い立ちと学業、業績
幼名は運之助、称は主計、字は子純・蕉軒・繞(じょう)、号は蕉亭・棕軒・紫関・環岳・圓峡・棕雨・詩屋。主計頭、備中守、対馬守、従四位下。
楼を栽錦楼・棕雨書屋と呼んだ。


阿部正精は安永3年(1774年)12月24日、4代藩主
阿部正倫の3男として江戸に生まれた。
母は津軽氏。
享和3年(1803年)10月、30歳の壮年で襲封した。
かれも父祖と同じく幕閣への道を歩み、奏者番、寺社奉行兼任、そして文化14年(1817年)には老中に昇進した。
正精の治績としては、鞆港の築造、義倉の設立、そして江戸詰め藩士子弟のために丸山藩邸内に学問所を設置したことなど多々あるが、その本領は儒学・国学のみならず、洋学・天文学などにも及ぶ広範囲な学問奨励と彼自身「詩書画三絶」と称えられた文人的才能である。
彼自身、真野竹亭から指導を受け、幼少期から学問に励み、実用の学問に深い関心を示し、絵画も中国の画家・沈南蘋(しん・なんぴん)の画風を学び、その画技は相当なもので、従って学者を登用し、藩士教育にも熱心であった。
すでに正倫の代に招聘していた
菅茶山を厚遇し、廉塾の都講・北條霞亭を弘道館文学教授に召し出し、江戸藩邸に呼び寄せ大目付格儒官として優遇した。
実学では、天文暦学の
石坂禄平、蘭方医の坂上卜安義駿を任用し、みずからも蘭語の学習をしている。
また国学では笠岡の祠官
小寺清之を招き福山城下で講義させた。
このように、従来治国の学問と考えられてきた儒学だけでなく実学としての洋学や皇道思想を鼓舞する国学にまで拡大したことは、やがて
阿部正弘によって展開される誠之館教育の萌芽がここにあったといえよう。
弘道館不振をかかえながら、たしかに正精治世の文化・文政期は文字どおり福山藩の文化活動の最盛期であった。
また、丸山学問所は福山弘道館と同形式で文政の初頭に創設され、それにとくに尽力したのは、前代正倫に文学教授に任ぜられ、正精の代に側用役・年寄に進んだ
太田全斎で、多くの著作のうち著名なのは『韓非子翼毳』20巻、『漢呉音図』3巻、である。
学問所の開校にあたり直書を下付して「学問の事は 心のほしゐままならざるやうに 身を修るを第一とすべし」と、まずは、克己修身の道を説く教育目標を明示した。

正精は老中職を7年勤め文政6年(1823年)病いによって辞職。
それから3年後の文政9年(1826年)6月20日、53歳をもって藩主在任のまま卒した。
謙徳院満譽清高良節と諡し、江戸浅草西福寺に葬られた。
現在は東京都台東区谷中に墓所がある。

室は土浦藩主土屋能登守篤直女、継室は高松藩主嗣子松平宮内太輔頼謙女・詮子。

第6代は、
阿部正寧がついだ。   (鐘尾光世、歴史資料室学芸員)


誠之館所蔵品展示品
管理№ 氏  名 名  称 制作/発行 日 付
t0710 阿部正精 書 書「香煙捧日」 寛政2年(1790年)
t0210 阿部正精 画 日本画「癸丑春華図」 寛政5年(1793年)
t0290 阿部正精 書 七言絶句「頻倚銀屏」 寛政10年(1798年)
t0450 阿部正精 書 書「玄賓者」 寛政10年(1798年)
00006 阿部正精 書 七言二行詩「軽陰閣雨」 文化3年(1806年)
t0420 阿部正精 書 「秋声賦」 文化5年(1808年)
00007 阿部正精 画 「不老朝花図(松に朝顔)」 文政6年(1823年)
00008 阿部正精 書 七言律詩「芙蓉積雪」 文政7年(1824年)
00009 阿部正精 書 一行七言詩句「曲肱為枕」
t0160 阿部正精 画 「伯夷叔斉図」
t0560 阿部正精 画 日本画「梅道人之墨竹模写図」
06691 阿部正精 書 扁額「攢雲亭」
t0860 阿部正精 書 七言絶句「中庭夜色」
t1210 阿部正精 書 論語「言忠信行篤敬」
t1270 阿部正精 書 和歌「夏旅」
00003 阿部正精 下賜 「孔子銅像」
07271 福山城博物館 編 『福山阿部家展-受け継がれた武家資料-』 福山城博物館 平成27年


出典1:『阿部氏十代展-福山の藩政と教育-』、7頁、福山市立福山城博物館編刊、平成7年4月8日
出典2:『福山阿部家展-受け継がれた武家資料-』、福山城博物館編刊、平成27年9月19日
出典3:『福山の今昔』、107頁、濱本鶴賓著、立石岩三郎刊、大正6年4月26日
出典4:『福山藩の教育と沿革史 藩校から小学校まで』、131頁、清水久人著、鷹の羽会本部阿部正弘公顕彰会刊、1999年8月20日
2005年3月3日更新:経歴●2005年7月6日更新:出典●2006年2月21日更新:経歴●2006年4月6日更新:タイトル●2007年10月5日更新:経歴・関連情報●2008年1月23日更新:本文・関連情報削除●2009年6月23日更新:誠之館所蔵品●2010年3月10日更新:経歴・本文、出典●2010年6月2日更新:誠之館所蔵品●2010年6月3日更新:誠之館所蔵品●2010年8月13日更新:誠之館所蔵品●2010年9月17日更新:誠之館所蔵品●2010年9月29日更新:本文・誠之館所蔵品●2010年10月13日更新:誠之館所蔵品展示品●2010年10月28日更新:誠之館所蔵品展示品●2010年12月15日更新:本文●2011年1月17日更新:誠之館所蔵品展示品●2011年3月23日更新:誠之館所蔵品展示品●2011年8月26日更新:本文●2012年6月4日更新:誠之館所蔵品展示品●2015年1月8日更新:誠之館所蔵品展示品●2015年1月30日更新:誠之館所蔵品展示品●2015年2月6日更新:誠之館所蔵品展示品●2015年12月7日更新:レイアウト・誠之館所蔵品展示品・出典●